手術後の難聴
ある日突然耳が聴こえなくなる。そんなまさかということがあるなんて。3年前の寒い冬の朝、私の左耳はただの飾り物になってしまいました。そのときの事はいまでも鮮明に覚えています。「ぶっ」という音の後、「ぶぉーん」という耳鳴りのような耳の閉塞感がはじまり、その後徐々に周囲の音が聞こえなくなりました。病院で鼓膜や聴力検査を行うと突発性難聴と診断されました。 突発性難聴とは原因不明の感音難聴で、発症後2週間以内に治療を開始すれば6割〜7割は聴力が回復すると言われています。私はステロイド剤、循環改善剤、ビタミンB12の点滴を受けましたが、残念ながら聴力が回復することなく左耳は全く聴こえなくなってしまいました。それから1年後、私は人工内耳を埋め込む手術を受けました。 人工内耳とは正常に機能しない蝸牛に代わり、神経に人工的な電気信号を伝える医療機器です。手術後の突発性難聴は劇的に回復するということはなく、はじめは「ギーン」と鉄工所か工事現場にでもいるようなうるさい音しか聞こえませんでした。 それから人工内耳の調整(マッピング)と言語聴覚士によるリハビリを行いやっと人工内耳が自分の耳になり、いまは1対1の会話であれば何とか不自由なく成立するようになりました。
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